無軸鉄道模型_top

 旋盤の魔改造 往復台  Replacement production of cross slides for lathes.
 ミニ旋盤 Compact3の往復台の構造・精度に問題があることが判り、真鍮で、魔改造を図ります・・・

2019/08/22
DROを設置したのですが、その表示を観察していると、
往復台の進行方向が替わる毎に、一旦、意図する方向と逆方向に進み、
(最悪0.12mmほど。以後、
逆走距離
その後、ようやく意図する方向に進み始めるように見えます。

原因を調べると、送りネジが、主レール(ベッド)の外側かつ低い位置にあるため、ネジの押圧↘で、
往復台の↑矢印の部分が僅かに浮き上がり、さらに↖矢印の方向へ、
往復台が振れている事が判明しました。
DROが離れた位置にあるため、テコの原理で、一層その動きが拡大されて見えます。

往復台の↑矢印の直下には、押さえ板が来ておらず、効果的に浮き上がりを抑えることはできていません。
(往復台をロックするための押さえ板はあるが、往復台の移動中は機能しない)

以上を簡単に説明すると上図の様になります。
送りネジの押圧と、主レールとの摩擦・抵抗により、
往復台の一方がわずかに浮き上がり、首振り運動をしている訳です・・・

旋盤によっては、主レールの間に送りネジを設けた機種もあり、
それは、このような往復台の不都合な動きを、避けるためと思われます。

2019/10/20
加えて、時計旋盤や、先輩諸兄の魔改造旋盤には、
主レールとの摩擦を低減するため、真鍮製往復台としたものが在ります。
そこで、それらを参考にしながら、往復台を製作・置き換える事にしました。

作図は主レールの採寸が難しいため、厚紙で断面を作って位置関係を検討したりします・・・

2019/04/30
写真は、少しでも押さえ板調整が楽にできるよう、底板に穴を明け、試行中のありさま・・・
2枚の押さえ板が見えています・・・

このように、オリジナル機は、押さえ板調整に難儀するため、
たとえ加工中であっても調整できるよう、
押さえ板調整ネジに上方からアクセス可能なようにします・・・
押さえ板も長さ、44mmの2枚から、75mmの1枚に変更し、
材質も、すべりの良い真鍮製とします。

組立図です。移動コマの回転止めは省略してあります。作例そのままではなく、
断面 75×15mm 真鍮フラットバーから加工できるよう設計を変更してあります。
同様の工作をする方が居るとは思われませんが、もしそうするのであれば、
指示なき寸法は図面から拾ってください。
また、機体差もありうるので、実際の寸法を確認するようにしてください。

2019/10/20
基準となる端面の面を出しておいて、セッティング。
フライス盤は、精度を出すためシムを一旦ばらして、再研磨し、
組み立て時は固めに調整し直してあります。 
先ず最も精度を要する主レールと接する側から切削開始・・・

2019/10/20
先ず中央のV溝を掘ります。エンドミルには
 スポッティングドリル φ10 先端角90°
というものを代用しました。CNC用なので比較的廉価・・・

2019/10/20
次いでV溝の左右の壁面を削ります・・・
V溝の谷はφ3のエンドミルで平らに仕上げます。
加工面はオリジナルより余程、平滑に仕上がりました。

2019/10/20
主レールに置いてみたところ・・・幅は 75mm ・・・
大きく感じますが、オリジナルの鋳鉄製往復台には右側に突起物があるため、
全幅で考えるとそれほど差はありません・・・

2019/11/02
送りネジの押圧を受け止める、移動コマ受けの製作・・・

2019/11/03
U溝部の切削・・・

2019/11/03
移動コマ受けを組付け・・・移動コマが間に入り込み、
送りネジの推進力を往復台に伝えます。
送りネジの偏芯などに拠る不都合な応力は、ある程度逃がすことが可能です・・・
左が、オリジナルの移動コマですが、ガタが多いため作り直しました。
この、一度きりの加工の為に M8×1mm の逆ネジタップが必要です・・・

元の構造では、送りネジのブレが直接、往復台に伝わるため、
切削痕に 1mmピッチの模様が付く事がありました・・・
(送りネジが1mm ピッチだとそうなります・・・)

上面の切削に入る前のセッティング・・・
ダイヤルゲージで平行に設置できたかチェックしています・・・

上面、横送り台が嵌まり込む部分の切削・・・

当初、通常通り、往復台に横送り台のアリ組も、組付けることも考えましたが、
アリ組を切削するための55°アングルカッターが入手できないため諦めました。

そのため、オリジナルの横送り台を加工して、往復台に載せることにしました。
まず、元の横送り台を裏返して、底面をフラットに削ります・・・

切削中の写真は、押さえ金が無いですが、加工中に少し浮き上がることがあり、
きちんと上から押さえないと、正しく平面が出ません・・・

アングルカッターで広い面積を一度に刈り払おうと・・・
ところが鋳鉄なので、しばらくするとこんなことに。
あたりは煤だらけ・・・鋳鉄には随分カーボンが含まれているものですな・・・

往復台と横送り台を組付けたところ・・・
4本のボルトが、押さえ板を↑矢印方向に引き上げ、
(一つは水色の六角レンチが嵌まっています)
押圧を、上から自由に調整できるようにしました。
押さえ板の幅も、往復台全幅に広がったので、走行も安定します。

なお、主レールの頂部が往復台に接しているように見えますが、
実際には0.5mm程隙間があります。
出来るだけ刃物台の位置を高くしたくなかった為です。
それでも 2mm 程オリジナルより高くなってしまいました。

隙間が少なく、空気も入りにくくなる為、粘性の高い潤滑油を使用すると、
大気圧の作用も相まってピタッと密着します。

潤滑油です・・・20W-40というやや高粘度のものを使用しています。
4サイクルエンジン・バイク用なので、量が多すぎて困ることもありません。

逆ネジが切ってある移動コマは、
M3の長ネジで回転止めとしています・・・
黒いL型の部材は、その長ネジをバカ穴で、ゆるく支えています。
移動コマは移動コマ受けに、スルッと入るよう精度よく仕上げました。

それでも多少バックラッシュがありますが、DROがあるので不便は感じません。

上面から・・・
横送り台を乗せた、真鍮製往復台・・・非常に滑らかに動きます・・・
調整にもよりますが、DROが示す逆走距離は0.01mmまでに減り
オリジナルよりは、大分精度が向上しました・・・

追記→後日、これでも、必要な精度には十分ではない事が判り、
さらなる対策として 送りネジの移設 の追加工事を行いました。

2019/11/09
この一連の改造で、
横送り台の高さが2mm程、高くなったため、
4ツ爪チャックを使って、両面刃物台の高さを削りました・・・
これでも未だ直径50mmの加工が可能です。

2019/11/10
今度は標準刃物台の高さを削ります・・・
従って、この加工を行うためには、
少なくとも刃物台が2個必要ということになります。

トップスライドは底面とバイトホルダが載る面を少しずつ削って低くしました。
写真では削った面が光っています。

また、往復台のすわりが良くなったので、
芯押し台も同じく、真鍮ベースに改造したくなりました。
後日、この加工を行います。

色々手が掛かる Compact3 ですが、比較的信頼性の高い電気系や、静かなベルト駆動、
レールと主軸の平行度、
そして、なにより小型で扱い易い事には満足しています。

追記:後日、主軸可変速ボリュームの接触が悪くなったので、当工場で交換だけ行いました。


ここのURL   http://musikfest.ran-maru.net/OJQ020.html

Return to 旋盤・DRO ・・・  next 旋盤・芯押台 ・・・

Return to top of page

無軸鉄道模型_top