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 片渡り線
 Single crossover
片渡り線(片亘り線)を製作しました。


2024/11/29
高架上の片渡り線は、
これまで市販品の8番分岐器を二台組み合わせてました。

しかし、外見、特性共に芳しくなかった為、
周辺工事を行ったついでに、自作品に置き換えるべく、設置準備工事を行いました。

工作の都合上、片渡り線ベースは別ブロックとし、既に枕木敷設を始めています。


久々の分岐器製作となります。
製作法詳細は左目次から8番分岐器も参照下さい。

並枕木は幅が 4.5mm なので、
サーキュラソーを使って、5×3mmの桧棒から幅を 0.5mm 詰めて作ります。


サーキュラソーで、並枕木を標準長さの 47mm に切断しているところ・・・
三本まとめて切断しています。

なお、メタルソーで木を切ると、どういうわけか切れ味が非常に劣化するので、
木工用と金工用の刃は、区別した方が良いかもしれません。
が、当局局長は、きわめて面倒くさがり・横着なので、そうしていません。


今回の、分岐器には直ぐ曲線部が続きます。
そこのカントは、曲線外側にt1の桧材を貼って表現します。
緩和曲線部は、サンダー等で薄く削って、滑らかにカントが変化するようにします。


並枕木・分岐枕木を、木工ボンドでベースボードに貼り付けたところ。
分岐枕木の方は幅が5mmなので、5×3mm桧棒を所定の長さにカットして貼り付けます。
並枕木と分岐枕木の違い、枕木間隔の変化が、楽譜のようでもあり見ていて楽しい・・・

ベースボードは、t13 の桐集成材です。狂いが生じにくい上、
軽く柔らかく、固い年輪もないのでスパイク時に苦労しません。


枕木を、アクリルガッシュのセピア(35-A ターナー色彩)で着色しました。
水で少し薄めて、塗りムラが残る様、筆塗りしました。


フライス盤でトングレールを削り出しているところ。
フライス盤では、手ヤスリでは到底不可能な形状の切削ができますし、
加工時間、精度とも比較になりません。
今回の、片渡り分岐器用レール一式(ストックレール・ノーズレール・トングレール)削るのに、
一日半ぐらいで済みました。


削り終えたトングレール。
材料の粘りが強いので、表面の加工痕は少々荒れ気味です。
実物に習って、トングレール趾端(矢印)も丸く削っています。
趾端が尖ったままだと、ここにフランジが引っ掛かり、レールに乗り上げ脱線・・・
の確率が高くなります。

#135引抜レール(OJフレキに使用のもの)も、入手困難な時期が続きましたが、
幸い、IMONさんで入手可能になりました。
今回、渋谷店まで出掛ける元気が無く、通販で購入しました。


ノーズレールをフログ床板にハンダ付け。
桐集成材に仮にスパイクして、位置・角度を出しています。

ハンダ付けを苦手とする当局が云うのもなんですが、
ここ最近、ハンダフラックスは、Sフラックス(アサダ)(塩化亜鉛+塩化アンモニウム系)を使っています。
塩化亜鉛水溶液より、ハンダ流れが良いような気がします。
共晶ハンダだと薄くスーッと広がるので、キサゲの必要がほとんどありません。
これは、ライブスチーマーの方から教えて頂きました。


フログ床板にウイングレールをハンダ付け。
もたもた作業していたら、焦げてきました。


分岐器転換時に抵抗とならない様、トングレール下の枕木を削って逃げを作ります。
トングレール趾端下は洋白板を嵌め込み、スライドする様、後でグリスを塗布します。

レール高さを合わせる為、フログ床板の下も同様に削ります。


スパイク工程です。
レールは、スパイク前に塗装しておきます。
写真下の直線側ストックレールからスパイクしていくと、位置決めが容易です。

レールヘッドが線路中心線から12mmの位置にスパイクします。
次に、床板の付いたフログ部、
その次にリードレールと進みます。
リードレールの曲率は、図面の座標を参照します。


直線側の残りの部分を、軌間が24mm丁度になるようスパイクします。

市販分岐器と比べて、トングレールがかなり短いのが判ります。
ベースボードに開いた四角い穴には、分岐器転換用のサーボモーターが入ります。


分岐側の曲線内側を、スパイクします。

スラックは、実物と同じ位置に、ほぼ同量、設定しています。
あまり知られていない事ですが、トングレール趾端で、
既にスラック量 0.5mm(実物は18mm)設けてある事に注意です。
驚くべきことに、旧篠原製のOJ分岐器も、大体そのようになっていました。

8番分岐の場合、スラックを設けないと、
D50のようなホイールベースの長い機関車の通過が、
計算上でもかなり苦しくなります。


スラックはフログ部分に入ったところで0になります。
ガードレールは、チェックゲージに十分注意して設置し、
二軸貨車など繰り返し通して、割り込み等が発生しないか確認します。

チェックゲージは当局では、22.5mm に設定しています。

なお、旧篠原8番分岐器のチェックゲージは、旧規格車輪の通過を考慮したためか、
22mmとなっており、稀に割り込みが発生する事があります。

ガードレールを移設することが根本的解決となりますが、
当局では、ノーズレール鼻端を丸く削ることで、応急的に対処しています。
(丸く削る事で、鼻端にフランジが引っ掛かり、
ノーズレールに乗り上げ、脱線というような事態が辛うじて防げる。)



分岐部のスパイクを終えたところ。
こうしてみると、OJゲージの線路の美しさは別格に思えてきます。


2024/12/06
ほぼ、完成した片渡り分岐器。
十分な走行テストを行ってからにするので、バラスト散布は後日となります。


サーボモーターの、お尻が見えています。
全く、頭隠して尻隠さずですな。
後で、何とかします。


トングレール、リードレール、ストックレールが結線されています。

当局の分岐器の結線方式は、PECOのユニフログ方式に、
フログの極性を切り替えるスイッチを付加した形に似ています。

トングレールと隣接するストックレールが、常に同電位なため、
以前製作した、真鍮ワイヤーブラシを装着したレールクリーニングカーを通しても、
ショートする事がありません。


フログ部への配線。
エレクトロフログ(選択式)とは異なり、
フログ部はリードレールとは絶縁されています。


サーボモーターによる転換の具合。片渡り線を裏から見たところ。
サーボモーターの短い方のアームでマイクロスイッチを押し込んでいます。
マイクロスイッチは、フログの極性切り替えの為です。

電流計の付いている箱は、サーボモーターを転換させるための、
電源とPWM信号を出力する電気的治具で、
わざわざ継電連動盤を用意しなくても、転換試験が現場で可能です。


転換途中。
電流計は100mAを指しています。
マイクロスイッチが解放されました。


転換終了。
転換には約5秒掛けています。
列車が来たから、あわてて切り替えようと思っても間に合いません。





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