フライス盤用 DRO DRO for the Mill |
OJゲージの足回りや工具の作成等では、 時として 0.01mm オーダーの加工を行いたい場合があります・・・ |
2025/05/16 | |
当局では、フライス盤のDRO(Digital Read Out)をノギスで代用してきましたが、 最近、加工寸法の計算が合わないなど、X軸のDRO値に疑義を抱く局面がありました。 当局にとって、フライス盤DROの信頼性は非常に重要なので、 急遽、DROの改修作業を行いました。 ノギスによる測定で、くちばしの先で測定するより、計測部(目盛り)に近い根元の方で測定した方が、 誤差が少なくなるのは、誰しも経験があると思います。 これは、ノギスのスライド部が、僅かに傾斜・回転するために起こります。 これを、仮に測定物を計測部にもっと近づけ、同軸で測定すると考えたらどうでしょうか? 誤差は非常に少なくなると思われます。 測定精度を高める為には、測定対象物と計測部(目盛り)を、同一軸上に配置しなければならない。 これが現在、アッベの原理 として知られている、機械工学上の原理原則です。 |
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計測部が緑線延長線上、測定対象物が赤丸点間に在るとし、 ノギス・スライド部が僅かに回転することで、どの程度誤差が発生するかを、 簡略化して描いたのが、上図です。 ノギス・スライド部の回転は、フライス・テーブルの往復などで生じます。 ① 計測軸(緑)と測定対象物(赤)が離れている場合は、誤差が大きく、 ② 計測軸(緑)と測定対象物(赤)が同軸の場合は、誤差がほとんど発生しません。 |
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当初のDROの構成です。計測部と、測定対象部が離れています。 ①の構成です。 下写真のように、ダイヤルゲージを併設し、テーブルを左右移動させ、 同一測定点における、行き方向及び戻り方向の、ノギスの指示値差を確認すると、 0.03mm 程度在りました。 |
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計測部と測定対象部を重ね合わせ、 できるだけ、アッベの原理に沿った測定ができる様、改良を施しました。 ②の構成となります。 ダイヤルゲージ※注 との比較の結果、 テーブルの右移動時、左移動時のノギスの指示値差は、 殆どが 0.00mm 大きくても0.01mm 以内に収まるようになり、 さらに、ノギス・スライド部に強制的に左右回転させる様な、圧力を加えてみても、 指示値は、ほとんどブレなくなり、計測の安定感、信頼感は格段に向上したように思います。 ※注 ダイヤルゲージ自体のバックラッシュ誤差(戻り誤差)は3μm以内です。 |
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左固定部を分解したところ。 ノギス・ジョウ片側三箇所を固定している事が判ります。(黄矢印) 右赤矢印の下に、ノギス・スライド部の回転中心があります。 |
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フライス盤Y軸は、特に問題は生じていませんでしたが、 念のため、X軸と同様な改造を施しました。 上写真は、ダイヤルゲージを併設して、精度の比較確認を行っているところ。 一方、残るフライス盤Z軸は、 そもそもコラムの傾斜などにより、高い工作精度が期待できない事、 また、旋盤のDROは、多くが一方向からの計測となるため、必要性が少ないとして、 改造は実施しませんでした。 お役所の文言みたいですな・・・ |
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