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 シリコーン型・エポキシ注型
  Silicone mold epoxy casting
シリコーン型を製作し、エポキシ樹脂を注型して、
レンガ高架橋壁面に飾るメダリオンを量産します。

2024/09/20
最初に、旋盤で真鍮の型を作ります。


皿の部分を削ります。
縁が滑らかなので、スローアウェイチップもRの大きなものを使用。


同心円模様を削り出します。
旋盤のチャックは、ご覧のようにER32コレットを使用しています。


旋削を終えたところ。

同心円模様の内側から三列目は、
旋削バイト先を意図的にビビらせて、ローレット風の模様を付けましたが、
塗装・完成後は、ほとんど判らなくなってしまいました。
折角の苦労が水の泡です。

旋削および以下の作業でチャッキングする為の、Φ10 の柄が背面に飛び出ています。


周囲の分割線を、彫刻用ビットで彫刻します。

フライス盤にロータリーテーブルを載せて行いました。
円周を16分割するので、ロータリーテーブルは22.5°ずつ回します。
彫刻用ビットを低速で回転させ、
線を引くのではなく、多数の点を打つ感じで彫刻していきます。


側面の分割線も同様に・・・
これも実際に、注型して塗装まで行うと、
意外に目立たなくなるので、もう少し深く彫刻すべきでした。


シリコーン型を作ります・・・
シリコーンは2液を等量混合するタイプ。
少量の硬化剤を混ぜるタイプより、混合比のバラツキが出にくいです。

金属型の方には離型剤としてカリ石鹸を塗っておきました。


カップを切り開いてシリコーン型を取り出します・・・
シリコーン型は2セット作りました。
写真に写っているのは1セット分です。


シリコーン型に エポキシ樹脂 を注入しているところ・・・
初回のみ、離型剤としてカリ石鹸を薄く塗布しました。
メダリオンを吸着固定させるための磁石も、投入します。


型を閉じたところ・・・


12時間後、未だ柔らかいですが、型から取り出します・・・
型が2個なので、12時間毎に2個、一日に4個しか作れません。
この後、バリなど不要部分を切り落とします。

合計21個作って、大きな失敗は一個・・・
大きな気泡が入ってしまいました。

磁石は、硬化中に次第に動いてしまうので、
なかなかセンターに位置しませんが、吸着には支障ありませんでした。
型中心に、センター保持用の鉄片でも仕込んでおけば良かった・・・


ミッチャクロンを塗布・・・
磁石を仕込んであるので、木ネジの頭に吸着させて乾燥させています。
あまり密に配すると、何かの拍子に一瞬にしてバチバチと吸着、集まってしまいます。

この後、次のようにアクリルガッシュで塗装。
イエローオーカー(32-A・ターナー色彩)で下塗り、
香色(こういろ)(332ーA・ターナー色彩)で上塗り


レンガ壁面を木ネジで固定して・・・


・・・その木ネジの頭を隠す形で、メダリオンを吸着・固定します。
ですので、何かの都合でレンガ壁やメダリオンを取り外す際も簡単です。



2024/11/01
 制走堤を作りました。
数が必要なので、シリコーン型とエポキシ注型で量産します。
プロトタイプは尾久機関区に在ったものとしました。(→画像等はありません。)
先ず、真鍮で母型を作ります。
フライス盤メタルソーでカットしたところ。
写真のような箇所は、エンドミルで切削するより、メタルソーの方が作業時間を短縮できます。
また、無駄な切粉の発生も減らす事ができ、切り落とした欠片も、他に利用できたりします。


短い枕木が嵌るところを削っています。
エンドミルで削ると、コーナーにRが残ってしまうので・・・


折れたドリルをグラインダーで削って作ったタガネで、
コーナーを直角に仕上げます・・・
大変そうに思われますが、作業は数分で終わりました。

緑の柄は、鋭すぎる刃先を整えるためのハンドラップです。


シリコーン型を作ります・・・
シリコーンA液、B液、離型剤のカリ石鹼、
分解能0.01gの電子天秤、容器、母型など・・・


左のシリコーン型に、エポキシ樹脂を注いだところ・・・
制走堤は上下、逆さまの状態で注型されます。


左から、①真鍮で作った母型、
②エポキシで普通に注型したもの、
③シリコーン型に離型剤を塗り過ぎて、泡立ったところにエポキシを注型したもの。
これは表面があばたになっていますが・・・


塗装と枕木貼り付けを終えたところ・・・
③表面があばたになったものは、コンクリが風化している風の表現に適しています。


出来上がった制走堤を、転車台周線に置いてみました。

2025/02/07
レンガ製検査・修繕ピットに設置する、レンガ階段の製作過程です。
BBM1930s では、アクリル板にレーザー加工という、華麗なプロセスを見せて頂きましたが、
当局では旧態依然、シリコーン型エポキシ注型の力技で製作します。

四・五段目を削り終えました。


彫刻用ビットで、モルタルの継ぎ目を表現します。
ビットを低速回転させ、多数の点を繋げるように打ち、彫刻していきます。
ビットとワークの干渉を避けるため、ワークを斜めに保持しています。


表面の彫刻を終えたところ。


見える可能性のある、裏面や側面にも彫刻を施しておきます。

朝から作業開始して夕方近く。ここまで来る頃には、もうへとへと・・・
間違えないように加工しなければならないので、
長時間の集中力の持続は、ボケ気味の頭にはしんどい。


写真は、真鍮の母型からシリコーン型を製作したところ。
この、シリコーン型に 2液性エポキシ樹脂を混合後、注型し硬化を待ちます。

真空脱泡機が在れば済む話なのですが、この頃には当局には無かったので、代方として・・・

エポキシ注型後、最初の数時間は、冷暗所に置いて気泡が抜けるのを待ち、
その後、ストーブの前など、暖かい所へ移して硬化を促進させる様にすると、
気泡があまり混入しません。
このような感じなので、一日、一個しか作れません。


硬化品が、ピットに入り切らなかった為、
少し幅を詰めているところ。


ミッチャクロンを塗布後、茶系統のアクリルガッシュ数色で塗装。
一個は塗装前の状態。


ピット端に、レンガ階段を設置。
色合いが、レンガペーパーと揃っていないのが気になりますが、
それでも、レンガ庫に相応しい、古風なレンガピットです。




 給水柱の製作
  Stand pipe
真鍮で原型を製作、そこからシリコーン型を製作し、
エポキシ樹脂を注型して、給水柱を量産します。

2025/06/13
当鉄道には、機関区に加え、駅も三箇所あるので、
給水柱が、合計15個も必要です。
先ず、原型・脚部の旋削。
写真のような治具を製作し、円弧に削りました。
矢印のビスが、バイトの回転中心となります。
なお、実物の脚部は、このような単一曲線ではありませんが、
手間を省くため、このようにしました。



脚部にフルーティング(縦溝)を彫刻します。
フライス盤にロータリーテーブルを載せて、写真のようにセッティングします。



フルーティングの彫刻詳細。
フルーティングは 30° 毎に彫刻用ビットで彫刻していきます。



配管フランジの、ボルト穴明け。
フライス盤にロータリーテーブルを水平にセットし、
センタードリルで、60°毎にマークします。
次いで、普通ドリルに持ち替え、貫通させます。

写真の様に、センタードリルを使っているので、先ブレすることがなく、
正確な位置に穴明けすることができます。

普通ドリル貫通時の事を考え、ファイバーワッシャを挟んでいます。



製作した脚部と配管、バルブの一部。
ボルトの植え込みはこれからです。



給水柱頭部は、フルーティング有りと無しを製作しました。
頭部のフルーティングも30°毎と、それほど密でないタイプとしました。

吐水口に続くランナーは、エポキシ注型時のための処置です。



給水バルブハンドルは難物で、
ロストワックスの手ブレーキハンドルを流用することも考えましたが、
修行のため?挑戦することにしました。

プロトタイプのハンドルは、五本スポークなので、
ロータリーテーブルを使って、
端面を整形したΦ6真鍮丸棒に、72° 毎にΦ1.5穴を明けます。

最初にセンタードリルでマーク、その後、普通ドリルに持ち替えるのは、配管フランジと同様。
写真に写っているのは普通ドリル。



次に、旋削です。2mm厚の突っ切りバイトで、Φ6真鍮丸棒から切り離します。
突っ切りバイトは、#1000ダイヤモンド砥石で鋭く砥ぎあげ、
すくい角は、食い込みを防ぐため、逆に少し鈍角にしています。

このようにすると、ビビりも無く、スッとスムーズに削れます。



丸ヤスリで穴を広げていきます。左が加工前の状態。
これ以上加工せず、左のままでもいいかあ~、と邪念もよぎりましたが、
手を抜くな~と、周りから袋叩きに遭いそうなので、渋々・・・

当局は、機械加工なら、そこそこ出来ますが、
手ヤスリとなると、現状の工具・技量、おまけに老眼では、この辺が精一杯です。



仮組みした給水柱。なお、ここでもボルトの植え込みは未だです・・・

左は、機関車の大型化に対処するため、後年の改造で、
矢印部分の配管を間に挟み、高さを稼いだタイプで、
その部分には、フルーティングがありません。

右は、先日、下今市駅で見てきたものに類似したタイプで、
脚部以外にフルーティングが無く、比較的あっさりとしたタイプです。
バルブも、左のものより少し高い位置にあります。
このように、適宜、部材の組み合わせを換え、様々なバリエーションに対処します。


2025/06/20
シリコーンの型を作っています。
一度、真空チャンバーに入れて脱泡した後です。

原型は、上下逆さまに浸かっています。
原型を二つに分けたため、エポキシ注型口も二箇所できますが、
この事が、後程、注型不良の原因となったようです・・・



24時間硬化後、シリコーン型の一方から切り開いて原型を取り出します。
シリコーン型は二つに分けず、
エポキシ注型時の型ズレを防ぐため、繋がったままにしておきます。

下の真鍮原型は、取り出し時に別けてしまいましたが、元は繋がっていました。



エポキシ樹脂 2液を混合後、注型前に一旦、真空チャンバーで脱泡。



シリコーン型にエポキシ樹脂を注いで、また脱泡。
泡立っているのが判ります。
エポキシ樹脂がこぼれない様、マスキングテープで囲っています。

常圧に戻した際に、エポキシ樹脂が大気圧によって押し込まれ、
型の隅々まで行き渡るはずですが・・・



24時間硬化を待ちます。
真空脱泡後なので、目視では気泡は見当たりません。



注型一回目。型から外したところ。
水栓ハンドルのところも見事に再現されています。
これはこれは意外・・・

しかし、もう一方はハンドルが分離してしまいました。
母型の具合の悪い箇所が判ったので、こちらはシリコーン型を作り直します。



しかし、何回か注型していると、
給水柱頭部の下に気泡ができる傾向が判りました。
これは、由々しき問題です。

なお、バリは簡単に取り除けますので、こちらは問題ありません。



7回の注型で、5回も気泡が入ってしまいました。
それも、給水柱頭部の下、ほとんど同じ位置です。
上左、五つが気泡が入ったもの。上右、二つが入らなかったもの。
モデリングペーストを盛って、直せるものは直しています。

その一方で、難しそうに見える水栓ハンドルの方は、その後失敗しませんでした。
不思議です・・・



エポキシ注入口が二箇所あるのが問題ではないかと思い、
一方の注入口を、マスキングテープで塞ぎました。

つまり、二箇所からエポキシが注入されると、
内部で樹脂が出会った先に、
エポキシ樹脂に含まれる、揮発成分の気泡が溜るのではないかとの推測です。



一方の注入口を、マスキングテープで塞いで注型した結果。
赤矢印の部分に気泡が残りましたが、
完成品には影響はありません。

一方が、テープで塞がれていますので、
常圧に戻した際に、緑矢印の方向に樹脂が流れていってるはずです。



塗装等を済ませて完成した給水柱・・・二態。



給水ホースは、電気配線用の熱収縮チューブを流用しました。
加熱したハンダごてを当てると、
その部分が収縮して、吐水口へ取り付けと、布の風合いが表現できます。

モノクロ写真を参考に製作したので、給水柱本体の塗色は不明でしたが、
明るい色ということは判るので、
好みで、アクリルガッシュのパステル・マリン(ターナー色彩)を塗りました。




石炭台上に設置する給水柱です。
上で製作した原型を組み換えて作りました・・・



真鍮の原型と、エポキシの注型品との比較。

真空チャンバーを常圧に戻した際に、
エポキシ樹脂が大気圧によって押し込まれ、
矢印の方向へ流れていきます・・・

今回は、このように型を構成したお陰か、
不都合な気泡の混入は、以後、ほとんど無くなりました。



アクリルガッシュで黒く塗装して、石炭台に仮置きしてみたところ。
布製のホース等は後程。

鉄道辞典(日本国有鉄道 1958)によると、
平棚石炭台付属の給水線(←原文ママ)は、炭台 25m 以上は2箇所設けるのが標準となっている。
との事です。

撮影 2005/05/01
給水柱というと、この光景が思い出されます。
ハルツ狭軌鉄道・ドライ・アンネン・ホーネ駅への到着。
猛暑の中、給水柱から滴る水!
給水柱本体にも、凝ったフルーティングがなされていたように記憶します。

今回、給水柱の基礎はコンクリとしましたが、写真の様なレンガ製も良いものですな。




この頁 「シリコーン型

URL   https://musikfest.ran-maru.net/OJQ056.html

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