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 機械加工 ボルトナットの製作
 Manufacturing bolts and nuts.
市販パーツを買った方が、手っ取り早いのですが・・・
対辺1.3mmの六角ボルトナットの製作法です。

2024/04/26
フライステーブルに、写真のような治具をセッティングします。

真鍮線は鉄板に溝を掘って、
60°毎に角度を変えて、セットできるようにしています。
Φ1.5mm真鍮線の端を折り曲げ、セットします。

奥に、真鍮線を削ぐ切刃が見えます。
この切刃で六方向から真鍮線を削り、
六角断面にします。


加工中、真鍮線が抜けないように、押さえ板を治具にねじ止めします。

これら固定治具は、六角ナット付きのピンバイスでも、
代替可能に思われるかもしれませんが、
切刃の引っ張り力が大きいので、スッポ抜けてしまいます。
(簡単にやっているよう見えるかもしれませんが、
それなりに色々失敗もしてるのです・・・)


真鍮線を削ぐ切刃です。
元は中ぐり用バイトとして自作したものを、さらに改造したものです。
Φ12の S45CD 材から製作したもので、
先端に、旋盤用スローアウェイチップの一辺を、
テーブル面と平行に装着できるようしています。

フライス盤の主軸は不用意に回転しないよう、ロックしておきます。


テーブルのX軸を手動で送って、真鍮線を削いでいきます。

六角線を製作する場合、
削ぐ量:Z は、
線径:ΦD とすると、

Z=ΦD・((2-√3)/4) なので
Z≒0.067・ΦD

ΦD=1.5mm のとき
Z≒0.1mm

なので、フライス盤のZ軸(高さ方向)を調整して、約0.1mm削ります。
DROを見ながらフライス盤コラムの微調ネジを使うとうまくいきます。
当然の事ながら、テーブルの剛性と平面度はそれなりに必要です。


真鍮線の角度を変えます・・・
始めに120°ずつ3方向から削ります。
その後、間の残りの角度を削ります。

残り3辺の角度は、対辺が既に0.1mm削られているので、
切刃をさらに0.1mm下げる必要があります。


六辺を削り終わった真鍮線を取り出したところ・・・
難しそうに見えますが、治具さえ出来てしまえば、
ここまでは意外に簡単、短時間の作業で済みます。

難しく時間が掛かるのは、次の旋盤作業です。


六角に削った真鍮線を、拡大したところ。
意外にでこぼこしていますが、部品が出来てしまえば気になりません。


旋盤作業です。
大半のスローアウェイチップは、次の加工に対しては、
切れ味が十分ではなく、役に立ちませんので、
ハイスソリッド直剣バイト を、さらに砥ぎ上げて使います。
ダイヤモンド砥石 1000番で、できるだけ鋭く研磨・尖らせます。


六角の真鍮線の一端を、長さ2.5mm に渡って、径Φ0.95 に旋削します。
髪の毛より、はるかに細い切粉が、ツーっと連続して出ているのが判ります。

Φ6のER32コレットで、Φ1.5のスリーブコレットを把握しています。
この程度の径になると、スリーブコレット を併用した方が、
センターも保持し易く、作業も楽です。

送りは、緑矢印←の方向。ワークに加わる力も、その方向だけになる様します。
端面から2.5mm送ったら、バイトを真鍮線・端面の方まで戻し、
赤矢印↑方向へ0.02mm!程度送って、再度、緑矢印←の方向へ送りを繰り返し、
径がΦ0.95になるまで続けます。

バイトの切り込みが深過ぎたり、ワークに赤矢印↑方向の力が加わると、
あっという間にワーク変形、加工失敗の憂き目を見ます・・・
コレットからのワークの突き出し量が多いので、慎重な作業が必要です。
しかし、これら作業の細かいところは、当方、老眼の目には殆ど見えていませんので、
実際には、送りダイヤルの目盛りと、DRO指示値を頼りに機械的に作業してます。


切削が終わったところ。
この後、所定の長さにニッパーで切り離します・・・
この作業を繰り返します。


次に、上でΦ0.95に削った側を、Φ1.0のスリーブコレットで把握します。
ワークにニッパーで切断した跡が残っています。


ボルト部分を削り出します・・・
こちら側は、コレットからのワークの突き出し量が少ないので、
多少ラフな加工でも許されます。
写真は、未だ切粉やバリが残っています。


スリーブコレットごと取り出して、ピンセットでバリを取り除きます。
市販パーツよりは粗い出来ですが、この大きさになると
肉眼では、その差異はほとんど判別できません。


出来上がった六角ボルトナット・・・
使用するのは12個ですが、30個ぐらい作りました。



おまけ・・・
六角線を作るのに、こんな方法も試しました。
調整が難しく、未だ実用になっていません・・・



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