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 フライス盤の技法 帯板の製作
 Make metal strips using a milling machine
任意の材質、幅、厚みの、帯板が必要になる局面が多々あります。
そこで、フライス盤で帯板を自作できるようにしておくと便利です・・・

2024/03/01
ここでご紹介するのは、転車台橋に使用する、2.1mm幅 t0.2厚 燐青銅帯板の製作例です。
t0.2 燐青銅板としたのは、帯板にリベットをシャープに打出せる様、するためです。

鉄フラットバーから、ストッパー治具を削り出しているところ・・・
寸法を揃える為、二枚まとめて切削しています。

上写真は、初回試作時のもので、
実際に使用したものは、以下の写真のように少し形状を変えています。


テコ式ダイヤルゲージを、フライス盤主軸に取付け、左右のストッパーの位置を合わせます。
主軸は回転しないようロックしておきます。
ワークと接する部分を、黒マジックで塗っています。


ダイヤルゲージが同じ値を示す様、ストッパーの位置を合わせて固定します。

ダイヤルゲージを使わず、
XYテーブル端からの位置で決めても良さそうですが、
当局のフライス盤の場合、テーブル平行度の僅かな狂いのため、
左右端で50μm程のズレが生じます。
その分、完成した帯板の端~端でも、幅が違ってしまいます。


ストッパーの(矢印→)にワークとなる燐青銅板を突き当て、
その位置でワークを押さえ固定します・・・


ワーク押さえは、三枚重ねの鉄フラットバーです。

(矢印↓)にスペーサを挟んで、
ワーク中央部でも、十分な圧でワークを押さえる様します。


材料の大半が残る方に対して、アップカットになる様、
Φ2mmのエンドミルで、写真の手前から奥へ送ります・・・
ダウンカットにすると、材料を巻き込み危険ですので、ご注意。

帯板の幅が、目標値と合わなければ、ダイヤルゲージを設置するかDROを利用して、
Y軸を再調整・ロックします。

エンドミルは、切れ味の良いものが必要です。
当局では、2CEM-P-2.5D-2(モノタロウ)を使用しています。


出来上がった帯板・・・
右の三枚は寸法誤差が大きい不合格品。
写真のように、帯板の一端はエンドミルが切り残したRが残りますので、
後で削り取るなどの必要があります。
量産時は、帯板一枚当たり3~5分で製作できました。

大体、任意の材料・厚さでの帯板が製作できると思いますが、
長さと幅は制限があり、幅 1mm以下は難しいのではないかと思います。(試していません)
長さは、当局のフライス盤(FM80E-A :軸トラベル量改造品)の場合、180mmまでとなります。

エンドミルを使っていますので、ハサミやシャーで切断した時のように、
端面にダレを生じる事が無く、直角に仕上がります。
写真のようにカールもしません。

この方法では、エンドミルの幅 2mm 分が切粉になってしまうので、
その分、材料が無駄になってしまいますが、
それでもトータルの材料費は、市販の帯板を購入する場合の、
半額くらいで済みます。(工具・治具製作費は除く)


 フライス盤の技法 部品の作成
 Making of complex metal parts with milling machines
複雑な形状の部品であっても、フライス盤で
一体製作できることがあります・・・

2023/10/13
寿都鉄道のラッセル車キ1型の製作では、
地味な部品ですが、外側(写真左側)の解放テコ受けは難物でした。

ロストワックス部品を特注すれば良いのでしょうが、
ここでは、フライス盤を駆使して、何んとかそれらしく製作することができました。
以下、その製作手順です。

先ず、真鍮フラットバーから、
よく切れるエンドミルを使って、解放テコが通る部分を削りだします・・・

部品として残す部分に強度がないので、切削手順、切削方向、切り込み深さなど、
ワークを変形させないよう、十分配慮して加工を進めます。

エンドミルで一段落とします。
ここは簡単・・・

エンドミルの切り込み量を少なくして、
ワークの細い部分を変形させない様、注意して加工します。

ワークを横向きにしてエンドミルで削ります・・・
ワーク下にパラレルブロックを敷いています。

残る部分に、応力が加わって変形しないよう、ここからメタルソー(岡崎精工)を用います。
ワークを裏返し、メタルソーで所定量、切り込んで・・・

再び、把握し直し、メタルソーで余剰部分を切り離し・・・

さらにメタルソーで、把握部から切り離し・・・

このようになりました・・・

さらに斜め 45° にカット・・・

フライス加工を終えたところ・・・三角の余剰部分がギリギリ残っています。
この後、糸鋸で余剰部分を切り落とし、
さらに手ヤスリで、整形していきます。

解放テコが通る部分の、穴明けを終えたところ。
最後の最後で穴位置が少しズレてしまいした・・・

この様な物を、部品数点のハンダ付けで組むと、強度も不足しますし、角も出ない、
曲がって付いたり、ハンダ付けが崩壊・分解したりで、結構、エライ目に遭います。
フライス盤で一体加工することで、
ハンダ付けを苦手とする当鉄道工場でも製作可能となり、かなり助かります。


 フライス盤の技法 スツールの製作
 Making of stool with milling machines
転轍鉄管装置のスツールを量産します・・・

2024/04/12
製作中の転車台橋は、たまたま転轍鉄管装置のスツール(パイプキャリア)を流用しています。(↓矢印)
そこで将来のレイアウト用の習作も兼ねて、スツールの量産試作を試みました・・・


ちなみに実物のスツールの例・・・昔の駅構内には普通に見られました。
かなり複雑な形状をしていますが・・・
鋼管径はΦ40mm 関西本線 大河原駅にて。
これを簡略化して模型化します。


製作法です。先ず、t3フラットバーの、上端面と両脇を少し削ります。
精密バイスの両脇にパラレルブロックを置いて高さを決めています。


DROに依って位置決め・・・
ローラー部の Φ0.5・Φ1.0 を、センタードリルでマークします。
これが、ポンチマークの代わりとなります。


ドリルに持ち替え、Φ0.5・Φ1.0 を貫通させます。
DROに依れば、簡単に同軸加工ができます。
ドリル貫通時に備えて、敷板はベークライトを用いています。


メタルソーで鋼管が通る部分を削ります。
正確にメタルソーを通すため、高さ方向の精度が必要なので、
敷板はベークライトから、パラレルブロックに替えています。


精密バイスでワークを縦に把握し、
メタルソーで櫛の歯状に切り込みます。


切り込みを終えたところ。


水平に把握し直して、刈り払うように個々に分割・切断します。
高速度カメラで撮ったように見えますが、
たまたま、バリで繋がっていてそう見えるだけです。


個々に分割したところ・・・
25個作りました。
作業一日目はここまで・・・


翌日は、Φ0.5 Φ1.0の真鍮線を通し、ハンダ付けして完成です。

実物のスツールに、あまり似ていないのが難点ですが、
小さな部品ですし、量産性を考えると、この辺りで妥協すべきかとも思っています・・・
ロストワックスは、必要数とコストを考えると、それも躊躇してしまいます。
他、考えるとしたら3Dプリンターでしょうが、当局はそのスキルは持ち合わせていません。
強度的な不安もあります。

また、今回の作例は鋼管一列用ですが、
当局のレイアウトには、二~五列用も用意しなければなりません。



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