フライス盤 試しに プーリー交換 Milling machine pulley replacement. |
タイミングベルト化したフライス盤ですが、大径エンドミル・高回転で、 鉄やステンレスの重切削加工時に、タイミングベルトが共振し・・・ |
キーンとうるさく鳴る場合があります・・・ 通常の軽加工では全く問題はないのですが、 φ10エンドミルの高回転時など、重切削時に耳障りな音を発します。 そのまま放置しても良いのですが、 プーリーを大径化し、ベルトのテンションを下げたらどうなるかを、確認しておく必要があると考え、 以下、一つの実験例をご報告します。 前設計からの変更点は 小プーリー (K15XL037CF・15歯)→( K22XL037BF・22歯) 大プーリー(K30XL037BF・30歯)→ (K46XL037BF・46歯) 減速比は 15/30=0.5 → 22/46≒0.478 でわずかに遅くなっています。 タイミングベルトは (100XL037U) → (124XL037U) に代えました。 モーター軸~主軸間距離は計算値で、68.8→68.4mm で ほとんど変わりませんので、モーター支柱を除いて、他の追加工の必要はありませんでした。 |
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モーター側のプーリーはφ8の軸穴が予め開いていますので、 M4押しネジ穴を90°に二箇所開けるだけで済みます。 写真はネジ下穴を開けているところ・・・ |
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主軸用のプーリーは、下穴をφ20に拡大する必要があるため、旋盤を使います。 その四つ爪チャックですが、あまり信頼のおけないドラゴン製なので、 偏芯が出ていないか、テコ式ダイヤルゲージで確認しています・・・ |
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振れがないかも確認・・・ |
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セッティングに問題なければ、 小径用中ぐりバイトで、徐々に広げていきます。 |
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中ぐりバイトを交換して穴をさらに拡大・・・ デジタルノギスで繰り返し確認しながら φ20.00 にします。 ノギスでの内径測定は難しいので慎重に・・・ 加工が終わったら小プーリーと同様、M4押しネジ穴を二箇所開けます。 |
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ギアプーラーで旧プーリーを抜き取ります・・・ ロックタイトで固めていたので少々大変・・・ |
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新しいプーリーを元の様に組み上げ、モーター軸側の様子・・・ 軸はロックタイト高強度で固定、押しネジはロックタイト中強度で固定。 |
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モーター支柱とベルトが接触しそうなので・・・ 支柱を少し削りました・・・ |
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支柱は、このような安直なセッティングで加工しました。 XYテーブル面を削らない様、注意・・・ |
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主軸側の設置状況・・・ プーリー径が大きくなったので、指が触りそうで少々危険・・・ |
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なのでガードを作って被いました・・・ |
2022/02/24 | |
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それでプーリー変更後の状態ですが、歯数が増えたため当たり前ですが、 通常運転時はかえって騒音はうるさく、 アイドリング時の消費電流も 0.5→1A とかなり増えてしまいました・・・ やはり、重負荷時の騒音は我慢するとして、前設計の方がバランスがとれていたような気がします。 インボリュートなど歯形の良いタイミングプーリーに代える。 または、前設計のままで、アイドラーを追加して共振を抑える、 もしくは、いっその事、タイミングプーリーは止めて、Vベルト駆動にするなど、 別の手段を講じた方が良かったかもしれません。 判りましたら、また追記という形で報告したいと思います。 |
ようやく成功? フライス盤 プーリー交換 Replace with involute tooth profile pulley due to noise. |
プーリーの歯数を変更しましたが、騒音が酷く、作業する気にもならないので、 重負荷時の確認もせずに、インボリュート歯形のベルト・プーリーに交換・・・ |
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左が、これまでの台形歯のベルト・・・ 右がインボリュート歯形のベルトで、今回これを試用します・・・ インボリュート歯形ベルトは角が丸く、歯そのものも少し大きいです。 インボリュート曲線は歯車に用いられるもので、 タイミングベルトの場合は、台形歯のように騒音の原因となる、角部・応力集中部がなく、 プーリーとベルトの歯型がスムーズに密着・離合し、高性能が期待されます。 購入品は以下の通りで、メーカーは何れもゲイツ・ユニッタ・アジア です。 パワーグリップGTプーリ 5GTタイプ P19-5GT-15-6F(19歯・小プーリー側) P40-5GT-12-6F(40歯・大プーリー側) パワーグリップEVベルト EV5GTタイプ 295-EV5GT-9(9mm幅) 295-EV5GT-12(12mm幅) ベルトは9mm幅 12mm幅の二種類を用意しました。 |
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台形歯の旧プーリーを抜き取っているところ・・・ ロックタイトでがっちり固定していたので、 特にモーター軸側は大変でした・・・ |
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中ぐりバイトで、 インボリュート歯形、小プーリーの軸穴径拡大を行います。 モーター軸径と同じ、φ8のピンゲージが入る事を確認・・・ 内径をノギスで正確に測るのは難しい為、このようにしました。 |
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軸穴径の拡大加工と、それぞれ二箇所の押しネジ穴追加を行い、 フランジをカシメた大小プーリー・・・ |
2022/04/24 | |
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ベルトを掛けて組付けたところ・・・写真のベルトは9mm幅のものを付けています。 プーリーが見易い様に、トッププレートは外して撮影しています。 軸間距離などはほとんど変わりませんので、従来のセットアップをそのまま流用しました。 で、試運転・・・ところが、意に反してプロペラ機の様なすさまじい騒音が・・・ ああ、今回もダメかあ~と、意気消沈していたところ・・・ 急ぎの作業があったので、試しにベルトにモリブデングリスを少量塗って、 作業していたら、暫くして、あら不思議・・・あれ程うるさかった騒音が消失・・・・ 変に思って、パーツクリーナーでグリスを洗い落とすと、再びプロペラ機の騒音が蘇り・・・ グリスを塗って暫く運転すると、また騒音が消えて・・・ と実に不思議な経験をしました。 騒音というものは、意外に微妙なものですな・・・ ベルトの騒音が消えた状態では、 ほとんどモーターブラシの摺動音と、100Hzの僅かな唸り音しか聴こえず、実に快適な作業環境です。 アイドル時の消費電流も約0.4Aと、これまでで最小です。 ベルトが膨潤する事があるため、ベルトに油を塗布することは好ましくないとされていますが、 その際はベルトを交換すれば良い話なので、暫く、これで様子を見ようと思います。 このまま調子が保たれれば、これが決定稿になると思いますが・・・ 何か判りましたら、また報告します。 2023/3/10 追記:インボリュート波形に改造後、 約1年経過しましたが、快調に使用できています。 |
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