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 フライス盤 Z軸トラベル量の拡大 Expansion of Z-axis travel amount for milling machines.
  駆動系と制御系を改造したフライス盤は、その後、ほとんど手が掛からず、良い子にしていましたが、このところ・・・

 小径・短いエンドミルでの加工や、
プレス機代わりに使って、車輪・車軸の圧入をすることが多くなり、
Z軸の下方トラベル量が足りない事が、工作上、不便になってきました。

これは、Z軸の送りネジを、長いものに交換すれば済む事なので、
送りネジを加工・交換することにしました。
最もコラムを下げた状態。コレット先端からテーブル面まで35mm程あります。
このため小径エンドミルがワークに届かなかったり・・・
車軸の圧入時に、テーブルに台を重ねて置かねばならなかったり・・・

Z軸送りネジが短く、ストッパーも作用するため、
これ以上、コラムを下げる事ができず、
度々、加工に支障を来たします。

2021/12/07 作図
置き換えるZ軸送りネジの加工図です。
図面は機体差もありうるので、あくまで参考程度に見て下さい。
元の送りネジは全長310mmでしたが、400mmに延ばしました。

材料は M10×P1.5 のステンレス左ネジ 1m をモノタロウで購入し、切断して使用。
通常ネジとは異り
左ネジ(逆ネジ)なので御注意。

左端のスパナ掛けは、右端のM6ネジを切る際に使用します。
材料がステンレスなので固く、スパナを掛けないとネジ切りができませんので・・・

2021/12/09
先ず、旋盤を使って端面を仕上げます・・・
ネジ山が傷まないよう、
φ10銅パイプを切り開いて、スリ割り状に加工したものを挟んでから、
四つ爪チャックで把握しました。

d=2センタードリルで、センター押し用の穴明け・・・

回転センターで一端を支持し、
先に φ7.95 で 46.5mm 全長に渡って仕上げてしまいます。
元のM10逆ネジ痕が、表面に薄っすら残りましたが支障ありません。

材料が固く粘りが強いため、切削時に多少ビビり気味だったのですが
スローアウェイチップをDCMT070208-FV NX2525(三菱)に代え、
切り込み深さを十分浅くしたところ、
ビビりも止まり、滑らかに仕上げる事が出来ました。

ビビりを止めるにはチップを代える、
回転数、送り量、切り込み深さを変えるの他、
切削油を与えるなどの方法があります。

本機 Compact3 のベッド(主レール)は小型ながら鋳鉄製ですが、
とある模型店の御主人に、
旋盤はやはりベッドが命です。他の部分は交換や改造でなんとかなります。
ベッドが丸棒の旋盤は、剛性が十分ではなく、ビリツキが出やすい。
精度も出ないから導入を避けた方が賢明ですと、アドバイス頂いたことがあります。
その助言には今も感謝しております。

さて、次ですが、図面右端 M6ネジ外径を切削し、
さらに、この旋盤上でダイスホルダを使ってM6ネジを形成します。
被削材がステンレスなのでネジ切りが固く、四つ爪チャックの把握力では空転してしまい、
スパナを掛けて回さないとネジ切りできませんでした。
また、切削抵抗を減らすため、M6ダイスを最も開いた状態でネジ切りを行いました。

キー溝加工はφ3エンドミルを使ってフライス盤で行いました。
キーは、幅3mm長さ10mmの両丸平行キーでしたが、
オリジナルを、そのまま流用しています。

写真は送りネジを定位置にセットし、キーを嵌めたところ。
キーは少し圧入気味にする必要がありました。
従って、今後、簡単には分解は出来なくなりました。
この後、ハンドルを取り付けて終了です。

ところで、たまに鉄道模型界でも改造工作機械等で、
キーを使用している場面にお目にかかりますが、
そもそも信頼性が担保されている、標準サイズ・標準品でなかったり、
焼き入れ材や冷間引き抜き材でもない、手近な材料を流用して、
強度が大幅に不足していると思われる例を垣間見ることがあります。
場合によっては、こういったことが
重大な危険を招く恐れがありますので、注意する必要があると思います。

ハンドルを取り付けたところ・・・
ハンドルは写真の様に、回転半径を約2倍に大きく(半径:約80mm)し、
昇降・微調を楽にしています。
なお、ハンドルはプラスチックなので、浸食性の強い鉱油が付着すると、
非常に割れ易くなりますので、御注意。

2021/12/10
組み立てを終えた状態。赤矢印が交換したZ軸送りねじ。
下限ストッパーとなるボルトも外していますが殆ど判りません。
奥まったところからなので、写真が撮りづらいです・・・
ご覧の様に、コレットがテーブルに接するところまで、下げる事ができるように・・・


 フライス盤 Y軸トラベル量の拡大 Expansion of Y-axis travel amount for milling machines.
  Y軸の移動量も最大化します・・・

2023/09/30
XYステージを、奥側、コラムギリギリまで移動できる様しました・・・
元は、最大限移動させても10mm程、すき間が開いていました。

FM80E-Aの場合、矢印の箇所に、旋削した12mm厚スペーサを挟むだけで済みました。
その代わり、すき間が開いて送りネジが見えるようになってしまいましたが・・・

XYステージの手前側への移動量は、
送りネジ長さに、元々十分な余裕があったため変わっていません。


 フライス盤 X軸トラベル量の拡大 Expansion of X-axis travel amount for milling machines.
  X軸の移動量も最大化します・・・

2024/01/19
フライス盤テーブルのX軸可動範囲を広げました・・・
当初は、テーブルを限界まで左に寄せても、上写真の所まででした。
テーブル左端は十分なのですが、
テーブル右端から25mm程は、主軸を配置できず無駄になっています。

右にポツンと置いてあるのが、下で使う延長軸。


軸受部材に外径Φ14mm厚さ7mmのカラーを挟み、
送りネジには、ハンドルがテーブル基部と干渉しないよう、30mm延長する軸を付けました。
この状態での、精度は恐らく低下するでしょうが、
それより、テーブルの可動範囲が必要な事が多々あります。


30mm延長軸の図面です。


テーブル右端まで移動できるようになりました・・・
X軸DROは一時的に外しています。こちらは後で何んとかします。



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