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 旋盤の魔改造 芯押台 Replacement production of lathe tailstock.
 往復台を真鍮ベースで製作したところ、好結果を得たので、芯押台(テールストック)も、作り直すことに・・・

2020/09/17作図 2021/10/14 ⊿b改定
加工・組立図面です・・・別項の送りネジ移設に対応後の図面です。
上部は元の芯押台を流用し、t6真鍮板の上へねじ止めします。
t6真鍮板の位置を、押しねじで微調整できるようにしました。
プロ機に比べると若干、調整手順が煩雑ですが、これで芯押台調整機構を有することに・・・

下部ブロック、主レール(ベッド)と接する部分は、真鍮フラットバーから切削します。
浮き上がりを阻止するため、下部に 凸形の真鍮押さえ板を設けます。
押さえ板の押圧調整ネジには、上からアクセス可能です。
3本のM3キャップスクリューで押さえ板を引き上げることで押圧を調整します。
押圧調整ネジは、4箇所設けたいところですが、
不可能なので止むを得ず3箇所にしています・・・

75×25快削真鍮フラットバーから、
バンドソーで材料を切り出します・・・

往復台の時と同じく、
スポッティングドリル φ10 先端角90° を
エンドミル代わりに使い、溝を掘ります・・・

図面A部の3mm幅の部分を削ったところ・・・

ところでパラレルブロックの収納を作りました・・・  

オリジナルの芯押台の下半分を、バンドソーで切り落とします・・・

芯押台の切断面を、エンドミルで仕上げます・・・
芯押台は上下逆さまの状態です。ハンドル等も外しています・・・

芯押軸の傾きをチェックしているところ・・・
ステージを送ってダイヤルゲージのフレを見ます。
後で主レール上で再度確認します・・・

仮組みしたところ・・・
寸法が大体合っているか確認します・・・
芯押台側が0.2mm高いようにしました。
プロ機でも芯押台側をわずかに高くする事例が多いようですが、
小型旋盤では一致させた方が良いかもしれません・・・

ちなみに以前の芯押台の姿・・・
調整機構も無く、見た目でも大分、座りが悪そうです・・・

芯押軸(クイル)をいっぱいに伸ばし、ダイヤルゲージを押し当て、
旋盤の往復台を動かして、ダイヤルゲージのフレを見ます・・・
20mm 動かして 1/100mm ほど上向きになっていましたので・・・

定盤に置いたサンドペーパー上で、高い方の接地面を集中的に削り、
修正します・・・

魔改造した芯押台は、ある程度重さもあり接地面も広がったので、
断然安定感が増しました・・・
あとは回転センター(ライブセンター)に僅かに偏芯が残っているので、
市販の回転センターに追加工して充当します・・・

六角レンチ(水色)と芯押し台ハンドルが干渉し、
押さえ板の押圧を調整できなくなる事態が頻発した為、
後日、延長軸(赤矢印)を設け、干渉を避けました・・・
既に回転センターは、加工品に代えています・・・


 芯押台の調整
 Adjusting the tail stock of a lathe.
本機の、芯押台の調整方法は少し特殊です・・・

調整機構は備えましたが、本機の芯押台は、
プロ機のように、簡単に調整ネジ一本を回すだけという訳には参りません。
芯押台の高さは調整済みとして、奥行き方向の調整手順です。

先ず上図の関係に従って、
クイルと主軸を平行にします。

2021/10/10
実際の調整手順です。写真は送りネジを主レール間に移設後の姿です。
①回転センターの中心を10倍ルーペで見ながら一致させ、
②往復台を動かして、芯押台クイルの平行度をダイヤルゲージでチェック、
そのずれ量bから、必要な補正量Bを計算し、
③ダイヤルゲージを見ながら芯押台後部を移動させます。
再度、①回転センターの中心をルーペで見ながら、④芯押台前部を移動させ、一致させます。
この作業を一、二度繰り返すと、クイルが主軸に平行となります。

次に、定石通り芯押台を使って真鍮棒等を切削し、
テーパーになっていないか確認します。
両端の直径差から必要に応じてさらに追い込みます。
芯押台の移動量=|直径差|/2
で、切削した棒の回転センター側が太ければ、芯押し台を奥へ、
細ければ手前へ、芯押台を移動します。

それで、プロ機なら調整ネジ一本で芯押台を平行移動できますが、
本機に、そのような殊勝な機構が在る訳ありません。

なので、この作業も、ダイヤルゲージ2個を使って行います。
回転センターと芯押台後端にダイヤルゲージを設置し、同量だけ移動させます。
0.01mmオーダーともなると、微動ネジだけでなく、
本来それとは関係ないはずの固定ネジを締めるだけでも、
ダイヤルゲージの数値が動きますので、
それらを勘案して移動量を決めなければなりません。
金属が「こんにゃく」に思えてきます・・・

実施例では直径差が0.02mmでしたので、
0.02 / 2 = 0.01
で、0.01mmだけ移動させました。
最後に、確認のため再び真鍮棒を切削すると、
直径差がノギスの測定限界、0.01mm以内に収まり、
調整完了となります。


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