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 旋盤の魔改造 コレットチャック Make the collet chuck set usable on a lathe.
 ミニ旋盤 Compact3 にはコレットチャックのオプションが無いのですが、
 それでは旋盤として、かなり不便なので、コレットが装着できる様、面板を作ることに・・・

2019/04/27 購入
先ず、他社製品、「SIEG ミニ旋盤C3,C2用ミルチャックセット」 として売られていたものを、
アマゾンで購入しました。今時、珍しく木箱入り・・・

コレットはφ4φ6・・・φ16まで2mm間隔で 7個揃っています。
ドラゴンツールですが、裏のはめ合い部はφ55.00mmピッタリで精度は良さそう・・・

追記1:近年はドラゴンツールとはいえ、ERコレットシステムが廉価に出回っていますので、
そちらを利用されるのが良いと思います。


追記2:後日、ドラゴンツールが非常に廉価だったので購入して、ER16コレットアダプタを試作してみました。
しかし、コレットチャックの方は、そこそこの精度がありましたが、
コレットそのものは精度が悪く(振れ150μm)とても使い物にはなりませんでした。
やはり、本稿のように、それなりの価格のものを購入する必要があるようです。

なお、φ5 以下は、スリーブコレットを、使用すると経済的です。
写真のものはφ6 のコレットで把握します・・・
フライス盤でも、小径のエンドミルを把握するのに使用できますので、一揃い持っておくと便利です。

左端はφ6のピンゲージです。

2019/05/01 作図
ミニ旋盤の主軸とコレットホルダーを連結する面板の図面・・・
材料は快削真鍮です。φ55の嵌め合い部は当初、きっちし削りました。
しかし、どこでどうズレたのか判りませんが、完成後に300μmも軸ズレがあることが判り、
それを補正するため、後程0.4mm程細く削り直しています。

2019/05/25
注文していたφ80の真鍮材が届き、その日のうちに加工開始。
フライス盤のテーブル上で、
ガタつきのない面を下にして、押さえ金で押さえます。
エンドミルで切削し、面を出します。

2019/05/25
押さえ金の位置を替えて、削り残した面を削ります・・・
このために、ガタの無い面を下にした訳です。

2019/05/25
切削が終わった面をさらに、定盤に置いたサンドペーパー上で軽く削ります・・・

2019/05/25
面を出した側を下にしてロータリーテーブル上に固定・・・
最初にφ10.5の下穴をドリルで開けておきます。
フライスとロータリーテーブルの軸を、少し偏心させた状態で、
ロータリーテーブルをゆっくり回転させて、
主軸の通る穴φ12.9とφ15.0に拡げていきます。

フライスのエンドミルはφ10を使用し、
デジタルノギスで測定しながら、徐々に偏心の度合いを大きくして、
目的の穴径にしました。

2019/05/25
M14 P=1のタップをボール盤にチャック・・・垂直に保持します。
ボール盤のVベルトを外して、手回しでタップを切っていきます。
ここでの垂直度が後々、各方面に影響するので、慎重に・・・

2019/05/26
再びロータリーテーブルに固定して周囲60°間隔でチャック回し用の穴あけ。

2019/05/26
いよいよ主軸に取り付け、裏面から切削開始。
バイトが進むにつれ、きれいな切削面が現れてくるのは感動的です・・・
外周にもなんとかバイトが届きました。

2019/05/26
面板を反転させてコレットを取り付ける側の切削・・・
装着する旋盤自体で加工することで、
ヤトイの原理で高精度に作れる訳です。

真鍮材なので外径が大きくとも快調に削れましたが、
この旋盤はトルクが不足気味なので、SUSや鉄材では無理だったでしょう。

旋盤のアクリルカバーが当たるので木片で少し浮かせる様、しました。
当然のことながら、これらは自己責任でお願いします。

2019/06/01
当初の計画では、コレットホルダーを面板の裏からボルトで固定することにしていましたが、
大幅な軸ズレが判明し、芯出し調整を可能とする必要が生じました。
芯出しは主軸に取り付けたまま行いたいので、
表からボルトを通せるよう計画変更することに・・・

そのためコレットホルダーに元々開いていたM6のタップはφ6.5のドリルを通してバカ穴に変更します。
しかし、材質が硬く、そう簡単には明いてくれません・・・
新品のNACHIのドリルですら3箇所の穴あけで、すっかり摩耗してしまいました・・・
工具鋼、恐るべしですな・・・

2019/06/01
面板側にはM5のタップを立てます。
ここでもボール盤のVベルトを外し手回しで・・・
真鍮なので、こちらはすんなり作業が進みます。
手回しなので押さえ金は一個です。

しかし、ネジの下穴を明ける際はキリが食い込み、
ワークを上方へ持っていかれることがあります。
ボール盤のテーブルをロックし、
2つ上の写真のように、押さえ金2組でしっかりホールドしてください。
特にキリが貫通する瞬間が危険です。
かく云う私も、初め、押さえ金無しで加工していたところ、
1度持っていかれプロペラ状態になりました。

芯出し調整時の便を考え、外周のチャック穴には連番を刻印しておきます。

2019/06/01
主軸・面板・コレットホルダーを合体させて、
スプリングワッシャを入れたキャップボルト3箇所をゆるく締めます。
ダイヤルゲージの振れを見ながら、プラスティックハンマーでたたいて慎重に芯出し調整・・・
芯が出たらキャップボルトをきつく締め上げます。
ピンゲージはエンドミルも代用できます。

芯の振れ幅は、慣れると
5μm(ダイヤルゲージの半目盛り)ぐらいまでなら簡単に追い込めるようになります。
キャップボルトの締め具合・手順にコツがあるようです。

なお、キャップボルトが突出していますので、
回転時に怪我をしたり、刃物台にぶつけたりしないよう注意してください。

コレットの組み付け方 は←ここが参考になります。
ERコレットシステムは偏芯リングが仕込まれていて、意外に面白い構造になっています。

また、コレットは事前にナット側に組付けてからでないと、
ホルダーに正しく入りませんので注意が必要です。

さらに、縦型フライス盤と違い、コレットのテーパーに切子が入り易く、
精度が劣化しやすいので、頻繁な清掃とケアが必要です。


2023/09/28
追記3:ER32コレットシステムを導入しました。
中華製ですが、激安品ではなく、そこそこの値段でした。
面板は、上記で製作したものが、そのまま使えました・・・
コレットは 2mm から 20mm まで 1mm 刻みで揃えたので便利です。

しかし、コレット長が短いせいか、軸倒れによる誤差が発生しやすいようで、
その点は、コレットの長いSIEGのコレットシステムの方が、優れている気がします。
何か判りましたら、また報告します。


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