無軸鉄道模型_top
 旋盤の魔改造 DRO How to install the digital read-out of the lathe.
 DROをカーボン製から、分解能1/100mmのステンレス製のノギスに交換します。しかし、
 ステンレス製は硬いため、取付け部への過度な応力を逃がす機構が必要です・・・

2019/04/21
当初、このようにカーボン製ノギスをDRO代りに使用していましたが・・・
表示分解能が1/10mmで不足な事と、
5分操作をしないと表示が消え、再起動後は表示がゼロに戻ってしまう不便がありました。

一方、ステンレス製の分解能1/100mmのノギスは、
表示が消えても、数値を記憶していることが判り、
DROを交換することにしました。

2019/07/20
小型旋盤の場合は、往復台や芯押台の保持力が弱く、
DROから、それらへの過度な応力は、
加工精度そのものにも悪影響を与えるため、応力を逃がす機構が必要となります。
ステンレス製ノギスは固いため、この点を考慮しなければなりません。

このようなDROは、鉄道模型界では
板バネのようなものを介して取り付ける例が多いようですが、
よく考えると2軸、自由度が不足しています。
また板バネ方式では、全体に剛性が低くなりがちですが、
1/100mmを安定に計測するには、ある程度の剛性が必要です。

ステンレス製ノギスに交換するにあたり、
初めに板ばね方式で試作を行ったのですが、
少しノギスに触れただけで、数値が動いてしまう不安定感、再現性の悪さは、
これから永く使用する事になるであろうDROとしては、
到底、受け入れられるものではありませんでした。

DROの精度、安定性は、当然、製作する部品の品質に直接影響します。
高精度の測定が可能になれば、自然に製作物の品質も向上していくことは、当鉄道でも実感しています。
産総研や業界のトップメーカーが、不必要とも思える、
高精度な測定を追及している理由も、結果的にそこに繋がるからです。

そこで、あれこれ考えた末、本来の用途外ですが、
自動調心ベアリングを応用することを考えました。
写真は作例に使用した自動調心ベアリング・・・品番No126(NSK)。
外輪の軌道は球面の一部となっているため、外輪を軸に対して傾けることができます。
ノギスを自動調芯ベアリングを介して、固定する訳です。

ベアリングホルダの図面・・・指示なき寸法は目盛りから拾ってください・・・
中子のM2は長ネジを入れて中子の回転を制限します。
ベアリングはM3のセットビスで固定します。

2019/07/28
右端をぼろきれで支え、最低速で回して金鋸で材料の切り出し・・・
素材は一度に多く買った方が安上がりですが、
ほどほどにしないと把握も不可能になり、切出しに苦労することになります。
写真は幽霊が金鋸で切り出している様子・・・
バンドソーが在ればそれを使った方が能率的です。

2019/07/28
余分な外形を削って穴明けなど・・・

2019/07/29
概略、削り終えたところ・・・
中子は、ロックタイトでベアリングに接着固定します。
ベアリングそのものは外輪をセットビスで押して固定します。

2019/07/29
M2のネジが通るU字部はフライスで加工。
この機構を設けないと中子が回ってしまい、ノギスをネジ止めすることが難しくなります。

2019/06/17
ノギスの余分なくちばしは、モーターツールとディスク型回転砥石でそれほど苦も無く、切断できましたが・・・

2019/08/12
くちばしに約φ3の取付穴を開けるのには、大変難儀しました。
ボール盤では、なかなか切削が進まないので、うっかり強く押さえると、回転砥石が破損・分解したりします。

2019/08/15
モーターツールを最高速で回し、回転砥石で気長に開けました。
適宜、電着ダイヤモンド・バーを併用しました。
しかし、これでもかなり時間が掛かるため、
もっと良い方法があれば、どなたか教えて頂きたいものです。

2019/08/17
組付けたところ・・・
セットビスの押圧で、ベアリング外輪が僅かに楕円に変形するのを利用して、ガタを取ります。
(ベアリングには10μm程度ですが、内部すきまというものが設定されていますので、
それによるガタを取り除く必要があります。)
従い、セットビスの方向は旋盤の主軸と平行に近いのが良いです。
(残念ながら、作例はそうなっていません。取り付けの関係で若干傾いています。)
また、ベアリング軌道部に切削屑が入らないよう、透明プラスティックの覆いを取り付けました。

2019/08/17
拡大写真・・・
透明プラスティックの覆いと、M2長ネジの中子の回り止め・・・

最後にダイヤルゲージをセットし、往復台を左右に動かして、
ノギスの指示値とダイヤルゲージが、バックラッシュ等の影響無く、
正確に追従することを確認します。

2019/08/17
なお、ノギスのスライド部にガタがあると、大きなバックラッシュ・誤差につながりますので、
セットビスを良く調整しておく必要があります。(写真の↓部)

色々試作を繰り返してきましたが、ようやく取り外しも簡便で、
使い勝手の良いDROとすることができました。
若干、大げさとも思われる機構ですが、
意外に好結果を得ましたので、フライス盤にも応用しようと思います。

ところで・・・
計測精度が上がると、今度は往復台の動きに重大な問題があることが判明・・・
その解決方法は、またの機会に・・・


 車軸の切削 Axle cutting method DROがあると車軸の切削も楽に行えます・・・

2019/04/06
DROを使ってOJのステンレス製車軸を削っているところ。
なお、未だカーボン製ノギスを使用している頃の写真です。
DROにより、送りねじのバックラッシュを考えなくて良くなったため、
加工間違いが無くなったのと、精度・能率が大幅に向上します。

材料はSUS303(快削ステンレス)です。
バイトは通常のものでも何とか削れなくはないですが、
SUS用超硬スローアウェイバイトを使用しています。

2019/04/21
車軸にネジを切っているところ・・・
ダイスホルダーを使って、垂直にネジを切らないと車輪のフレの原因に・・・

2019/04/15
試走用2軸貨車を製作するので、
稲見S/Sのねじ込み式車輪と組み合わせる車軸を削成しました。
スケールだとかなりの長軸となるので、既製品に丁度良いものが無かったのです。
旋盤のトップスライドを使って、車軸中央にかけてのテーパー部も表現してみました・・・

しかし、完全には車輪のフレを無くせないのが目下の悩み。
片側が良くても、もう一方に僅かにフレが残ったりします。
テーパー部が無ければ、チャッキングも楽で簡単なのですが・・・
誰か作り方を指南してくれないかな?

追記・・・自費出版誌「蒸機を作ろう」に竹ブラシ法というのが載っていて、
試してみたところ、簡単に修正することが出来ました・・・


この頁のURL   http://musikfest.ran-maru.net/OJQ016.html

旋盤・コレットチャック へ戻る・・・  次は 旋盤・往復台 へ・・・

Top page

無軸鉄道模型_top